ぽっこりお腹、内臓脂肪の原因とは
人間の体形は、遺伝や体質、生活習慣などで、脂肪細胞が多くなる部位が異なってきます。その脂肪がつく部位によって、肥満のタイプは大きく「洋なし型」と「りんご型」の2つに分けられます。
まずは、自分の脂肪のつき方をしっかりと見極めることが大切です。
洋なし型肥満(皮下脂肪型肥満)
体のまわりの皮下に脂肪がたまるタイプで、多くはお尻から太ももにかけての下半身に脂肪がついています。女性に多いタイプで、生活習慣病の心配の少ない、いわば良性の肥満です。
りんご型肥満(内臓脂肪型肥満)
おなかがでっぷりと出た上半身肥満のタイプで、男性に多くみられます。おなかの中の内臓のまわりに脂肪が蓄積し、生活習慣病を引き起こしやすい肥満のタイプです。
体内の脂肪の蓄積はこうして起こる
ごはんやパン、麺などの穀類、いも類、果物、砂糖などに多く含まれる炭水化物は、体内でブドウ糖になって肝臓から血液中に送り込まれ、全身のエネルギー源になります。
血液中のブドウ糖の量が多くなると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。インスリンはブドウ糖を体内の細胞に取り込み、エネルギーとして活用するように働きます。また、余ったブドウ糖を中性脂肪に変えて脂肪細胞に取り込み、エネルギー源として貯蔵するのもインスリンの働きです。
そのため、食べ過ぎによる栄養過多や運動不足が続くと、燃焼が減って貯蔵が増えます。これが体脂肪の蓄積の原因になります。
さらに、過食や運動不足はインスリンの効き目を悪くする「インスリン抵抗性」を招き、体脂肪の蓄積に拍車をかけます。
内臓脂肪が増えるメカニズム
同じような食事をし、同じような仕事をしていても、脂肪のつき方には個人差があります。
りんご型肥満が進んだ人の多くに共通することは、過食と運動不足です。
注目したいのは、内臓脂肪は皮下脂肪に比べ、分解・合成が早く進む特徴があることです。それだけ蓄積しやすい半面、落としやすい脂肪なのです。食生活を改め、適度な運動を続けていれば、スムーズに落とすことができます。
内臓脂肪をためる生活習慣
①過食
エネルギー量の多い食品、高カロリー食品をとり続けていけば、内臓脂肪の蓄積する危険性は限りなく高まります。
②脂質のとりすぎ
脂質のエネルギー量は1gあたり約9キロカロリーと、たんぱく質と糖質の2倍以上になります。脂質のとりすぎはエネルギー過多に直結しますから、体脂肪、とくに内臓脂肪の蓄積を促します。
しかし、脂質は性ホルモンや細胞膜、神経組織の材料になります。適度に摂取することが大切です。
③糖質のとりすぎ
糖質には主に3つの種類があります。
・単糖類:ブドウ糖、果糖など。体内での吸収が早く、中性脂肪に変化しやすいうえ、血糖値の上昇を招きやすい。
・二糖類:砂糖の主成分であるショ糖。単糖類同様、吸収が早い。
・多糖類:穀類やいも類に含まれるでんぷんなど。単糖類などに比べ中性脂肪になりにくく、血糖値の急激な上昇も起こさない。
以上からわかるように、中性脂肪を減らすには、単糖類と二糖類、食品ではケーキや菓子、果物などの甘い物を避けることが大切です。
④運動不足
生活の中に適度な運動習慣がなければ、食事でとったエネルギーが十分に消費されず、余った分が脂肪として体内に蓄積されてしまします。
⑤飲酒
過度の飲酒は脂肪を蓄積させます。アルコールは日本酒1合で約200キロカロリー、生ビール大ジョッキ1杯で250キロカロリーなど、意外に高エネルギーです。もちろん、肝臓がアルコールを分解してくれますので、アルコールのエネルギーは体内に蓄積することはほとんどありません。
ただし、アルコールは米や麦などの穀類からつくられているので、糖分を含んでいます。これが肝臓で脂質と一体化し、中性脂肪に変換されます。
さらに、日本酒1合分のアルコールを分解するのに、肝臓は約3時間のフル稼働を余儀なくされます。アルコール分解は肝臓の第一義的課題なので、その間、他の飲食物の代謝は後回しにされます。これがアルコールによる脂肪蓄積の隠れたメカニズムです。
内臓脂肪は食生活の改善と運動で必ず減らせるので、少しずつ心がけてみましょう。