肝臓を大切に、脂肪肝の原因とは
健康診断で脂肪肝にひっかかってしまいました。確かにお酒は好きですが、まだアラサーなのに・・・。
ちなみに、健康診断の血液検査項目のAST(GOT)、ALT(GOT)はどちらも肝臓に含まれている酵素で、肝細胞がなんらかの異常で破壊されていると、これらの数値が上昇します。
γ-GTPは肝臓内の胆管でつくられる酵素で、この数値が上昇する場合、胆汁の流れが悪くなっていることが考えられます。γ-GTPはアルコールの過剰摂取で上昇することがわかっており、アルコール性肝障害の可能性が疑われます。(ただし、風邪をひいても上昇することがあります。)
私のような脂肪肝は食生活の見直しで大幅に改善される、生活習慣病です。今回はアルコールや肥満が原因の脂肪肝について見ていきます。
肝臓の主な働きは「物質の代謝」「解毒作用」「胆汁の生成」の3つ
①物質の代謝
私たちが口から食べたものは、胃や腸で消化され、ブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸として腸管から吸収されます。
それらの栄養素は肝臓でグリコーゲン、脂肪、たんぱく質などに再合成されて肝細胞内に貯蔵されるほか、全身へ運ばれ使われます。
しかし、食べ過ぎが続くと肝細胞に脂肪が過剰に溜まってしまいます。この状態を脂肪肝といいます。
②解毒作用
腸から入ってくる物質には栄養素だけでなく、細菌やウイルスなど、体に不必要なものもあります。肝臓にはこれらの有害物質を解毒して排出させる働きもあります。アルコールも体内では毒素とみなされます。
通常、アルコールは肝臓で分解されて二酸化炭素と水となり、血液中に戻され、体外に排出されます。しかし、アルコールを過剰に摂取すると、肝臓はアルコールを完全に分解しきれず、分解途中で生成されるアセトアルデヒドが残存します。これが脳に悪影響を与え、二日酔いが起こります。また長期にわたり、アルコールを大量に摂取すると、アルコール性肝障害となります。
③胆汁の生成
胆汁は肝臓でつくられ、腸管に排出されます。肝臓病が進行すると、胆汁が排出される経路に問題が起こり、本来排出される胆汁が血液中に増加します。すると胆汁の成分ビルビリンのせいで皮膚や白目が黄色くなるという黄疸という症状が起こります。黄疸は肝臓病がかなり進行しているサインです。
アルコール性肝障害について
日本酒に換算して3合以上のお酒を連日10年以上飲み続けると、ほとんどの人がアルコール性肝硬変になるといわれています。
【1合換算の目安】
- 日本酒1合 180㎖
- ビール 500㎖
- 焼酎(25度) 110㎖
- ウイスキーダブル1杯 60㎖
- ワイン2杯 240㎖
飲酒により体内に入ったアルコールは肝臓で毒素と認識され、アセトアルデヒドに分解され、さらに酢酸へ分解されて、最終的に水と二酸化炭素になって体外へ排出されます。
しかし過度にアルコールを摂取すると体は毒素を早く処理したくて、脂肪の代謝が後回しになり、中性脂肪が肝臓にどんどん蓄積され、脂肪肝となります。これをアルコール性脂肪肝といい、肝細胞が破壊される原因となります。
アルコールを飲まない人も脂肪肝になるNASHとは
アルコールをあまり飲まない人でも脂肪肝から肝硬変に移行する方が増えています。これを非アルコール性脂肪肝炎(NASH)といいます。
原因は主に過食や生活習慣の乱れで、皮下脂肪型肥満の人より内臓脂肪型肥満の人のほうがNASHになりやすく、また糖尿病や高血圧なども併発しやすいことがわかっています。
NASHを治療しないで放置すると、10~20%が肝硬変、肝がんへ進行するといわれています。
アルコール性肝障害の改善方法
アルコール性は禁酒でかなり改善されます。(それができれば医者はいらないよ・・・。)アルコール性肝障害は1日60g以上の飲酒(日本酒に換算すると3合程度)を5年続けると高い確率で起こります。女性の場合はこの3分の2の量で起こります。しかし、早い段階で禁酒、節酒することで肝機能の低下を防ぐことが可能です。
アルコール性肝障害はアルコール性脂肪肝、アルコール性肝炎、アルコール性肝線維症、アルコール性肝硬変へと進行していきます。大きな病気になる前に生活習慣を見直していきましょう。